華道家 新保逍滄

2016年6月23日

一日一華:太郎さんと次郎さん


「日本を外から眺めるというのは、どうなんだろう。長所も短所もあるように思うけど」
「客観的な見方ができるのかもしれないけど、まあ、日本に帰るたび、浦島太郎って言われとるよ。」
「実際、海外在住日本人としては、そう思うことも多いしね。日本のことがよくわからない。どうなっているんだろう、と。すると私は浦島次郎というところか」
「最近、日本がおかしな方向に進んでいるような気がして仕方ないんだよねえ」
「太郎さん、政治のことですか?浦島太郎、次郎の政治談議?」
「気になるのは憲法改正の動きだよ、次郎さん。戦争ができる国になっていくんじゃないかな?」
「戦争ができない国であればいいと?」
「もちろん。平和第一です。戦争などもってのほか。憲法のおかげで戦後、平和が維持できたんだからさ。これを変えちゃいけないよ。いざこざを解決するのは武器じゃない。話し合いなんだよ」
「お花畑の平和論だねえ。実際のところ、日本が平和を維持できたのは、日米安保のおかげでしょう?アメリカの武力の庇護があったから誰も日本に手出しできなかっただけでしょう」
「世界中の人が平和を望んでいるんだよ。それが信じられないのか?武器も軍事基地も一切無くせばいいのだよ」
「それは大事な建前です。理想です。諸国の皆さんの善意を信頼しましょう。でも同時に、万一に備えるということも必要でしょう?皆そうしていますよ。武力なくして国家は国民の財産、生命を守れない。それが国際社会の常識。その常識に近づくための憲法改正だという見方もできると思うけど。戦争するためじゃなくて、平和への保険に入るようなものなのかなと。現実的な平和って、結局、危うい力のバランスの上に奇跡的に成り立っているようなものなのじゃなかろうか。」
「戦争ができる国になってもいいというのか?」
「平和が第一っていうのは同感だよ。でも、そのために『戦争ができない国』にしてしまえ、というのは極論だと思う。日本人特有の◯✖️思考かな。
http://ikebana-shoso.blogspot.com.au/2016/07/blog-post_8.html
もしかするとそんな非現実的な意見は誰かの策略かもしれない。戦争はできるけどしない国を目指そうというのが国際社会の常識じゃなかろうか」
「そんな常識に従う必要などあるものか。日本が率先して、非武装、平和主義のお手本を世界に示したらいいじゃないか」
「そうしたら喜ぶ国は幾つかあるだろうねえ。すぐ侵略可能だ。その国々は日本の左翼マスコミ、左翼インテリと共謀してお花畑の平和論者を増やそうと戦後ずっと画策しているという噂もあるんですがね。日本では勉強のできる人ほど洗脳され、左翼になっていく傾向があるんじゃないか」
「右翼の低脳がそういうことを言うんでしょう?戦争したくてしょうがないような連中なんだ」
「低脳かもしれないけど、より現実をきちんと見ているような気がするなあ。まともな人なら戦争したいなんてことないでしょうけど。」
「なんだよ現実、現実って」
「これ個人的な意見だけど、日本で260年間、大きな規模の戦争がなかった江戸時代って、日本史上だけでなく世界史上、本当に稀な太平な時代だったでしょう。これほど長期間平和を維持できた国ってないですよ。でもその平和って、徳川の圧倒的な軍事力に裏付けられていたわけ。徳川幕府以前って、戦乱が絶えなかったでしょう。
 それを思うと、戦後の平和っていうのもアメリカの武力のおかげだったんだって、納得してしまうんだよね。平和って結局そういうものじゃないのかな。人間はあまり進歩していなくて。」
「いや、人間は進化しているんだよ。戦争の暗い過去は終った。平和な明るい未来を目指して人類はともに歩んでいるんだ。だいたい国家なんていうのがよくない。国家なんて消滅すればいいんだよ」
「皆が皆そうならいいんだろうけど、帝国主義的な態度の国もあるようだね。隣国を侵略したり、迫害したり。こんな国が日本に攻めてきたら、どうなるんだろう。今のままでは日本は簡単に侵略されてしまう。国家がなくなれば、国民は難民となり、すべてを奪われてしまう。戦後、日本は平和を享受してきたけれど、世界的には紛争は絶えなかった。今日も世界のどこかで紛争の犠牲で血が流れている。難民の数など戦後一貫して増え続けているんだ。毎年戦後最大数を更新している」
「なんだよ、悲観的だなあ。国連だってあるんだしさ。そんな心配不要だって」
「それほど頼れるといいのだけれどねえ。例えば、最近の中国の動き、太郎さん、これどう解釈するの?」

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160614-00048900-gendaibiz-cn
http://blog.jog-net.jp/201606/article_5.html

「中国?大丈夫だよ。日中友好条約があるんだよ。日本に手出しするわけないじゃない。日本がチベット化するなんてありえないよ。草の根レベルでも国際親善の輪は広がっているんだ」
「太郎さん、本当に自分の頭で考えてそう思うの?それともどこかの偉い人が言っているからそう考えるの?海外にいながら日本のマスコミでしかニュース見てないんじゃないの?日本のマスコミでは世界情勢は何もわからないから」
「自分で考えていますよ。まったく。そんな日本の離島が欲しいなら、争わずにあげてやればいいじゃない。向こうの言い分にもそれなりの理屈があるんだろうから」
「向こうの理屈なんてデッチ上げみたいですね。そこを占領され、軍事基地にされ、核ミサイルが装備され、ということになったら?」
「もうこんな話やめよう。不愉快だ」
次回の太郎さん、次郎さんの対話はいつになることやら。

補記:類似のトピックにつき、以下のような対談もご参照下さい。

Shoso Shimbo

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