華道家 新保逍滄

2018年1月19日

一日一華:写真花の難しさ


生け花の写真は難しいなあと、よく思いますが、
この作品など、その典型的な例。
奥行きがなくなるのです。
前後にかなり広がっている作品ですが、
写真では前後の広がりがほとんど感じられません。
元の生け花作品の味が半減した感じがします。
そうしたことも考慮して写真花に臨むといいのでしょう。

2018年1月9日

21世紀的いけ花考:第66回



 西洋芸術のモダニズムの影響を受け、日本の生け花は大きく変わっていきました。その影響は現在まで続いています。昭和初めの生け花改革運動は、従来の生け花の何を改革しようとしていたのでしょう?

 15世紀、立て花の成立から始まった生け花、そのすべてを否定し、まったく新しい生け花を提唱しようとしたのではありません。では、何を否定したのか?この運動に関わっていた人々の間でもこの点で合意があったのか、よく分かりません。抜本的な改革を意図していた方もあったかもしれませんが、この改革運動の中心人物の一人、草月流初代家元勅使河原蒼風などは、どうもそうではないようです。

「かつていけばなの世界では『まねぶ』ことの方に重きを置きすぎて、悪いことがはやった。決められた形をそっくりまねるのでなければいけてはいけない、この流儀にはこの形しかない、この形を皆でいけるのだというような。非常に非芸術的な時代があった。これが江戸末期のいけばなの悪弊だった。(略)これは明治になっても大正になってもその停滞から抜け出ることができなかった」(「蒼風講義録から 4 平凡を非凡にする」)

 つまり、蒼風が批判しているのは江戸末期から大正までの生け花のある側面。生け花の全てを批判しているわけではないのです。批判の対象は、模倣させるという指導のあり方、制作態度。小さな点です。重要ですが。別の観点から見れば、これはモダニズムの「いいとこ取り」なのです。ここは後に詳述します。

 さて、江戸末から大正までの期間とは、生け花史上重要な時期。そのあたりに大きな生け花ブームが2回起こっているのです。江戸後期、明治期の2回。ともに流派の数が爆発的に増加した時期。3回目はもちろん戦後の最大のブーム。草月流、小原流などがリードしました。大手の池坊も様々な改変を経てブームを担い、今日に至っています。 

 さて、次回は、過去3回の生け花ブームについて、特徴を簡単に述べておきましょうか。それで日本華道史の要点も蒼風の立場もよりよく理解できるでしょう。

 今回は1年前の正月花を紹介します。クラウンの此処に活けたもの。今年もクリスマスから新年にかけて展示しますのでご覧下さい。

 今年は3月にローン彫刻展、9月にビエナーレ・オブ・オーストラリアン・アートに参加予定です。昨年度、イェーリング・ステーション彫刻展で入賞した作品を最初の作品とし、「公共芸術としての環境芸術」シリーズの続編をこれらの芸術祭で発表予定です。お楽しみに。

2018年1月7日

一日一華:天命



随分、歳若い頃から自分の天職はなんだろうか?と考えてきたように思います。


今の生き方が自分の天命なのか、と現在でも考えていますし、
あまり自信もない。

ただ、次々にやってくる挑戦に懸命に立ち向かっているだけというのが実感。

しかし、次々挑戦をいただけるということは、
自分が恵まれた場所にいるということではないか、
もしかすると天命を歩んでいるということではないか、と思ったりしています。

次の興味深い、天命についてのエッセーを読んだ時、そんな思いを強くしました。
http://blog.jog-net.jp/201801/article_1.html

今、直面しているのは、三月の2回のスピーチの依頼。
多分、今までの講演の中でも最大の挑戦。
本当にやり遂げられるのか、
全力を出し切っても、力が及ぶのか、
しばらく自分との戦いが続きます。

Friday 23 March 2018: Shoso will talk about environmental art at the Lorne Sculpture 2018. http://www.lornesculpture.com/speakers.php

30 March 2018: Shoso will conduct an Ikebana demo as a featured presenter at the Asian Conference on Arts and Humanities 2018, The International Academic Forum, Kobe, Japan. https://iafor.org

環境芸術と生け花について話します。

特に、神戸では蓑豊氏とともにフューチャード・プレゼンターに指名されていますので責任は重いです。蓑先生については以下のポストでも書いています。

https://ikebana-shoso.blogspot.com.au/2017/05/blog-post_26.html
https://ikebana-shoso.blogspot.com.au/2017/05/blog-post_31.html

Shoso Shimbo

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